相続トラブルを回避するために「遺言書」の作成についてお考えになることもあるかと思います。
相続や遺言などの情報も手に入れやすくなっていますが、実際に自分にあう「遺言書」はどのようなものがいいのか・・・?どうしたらいいのか・・・?などと考えてしまうこともあると思います。
そもそも、「遺言書」を書かなくてもいいのではないかとも思ったりしますよね?
遺言書が無い場合の相続の簡単な流れとしては
相続人の確定→相続財産の確定→遺産分割協議書の作成→遺産の名義変更等の手続き
おおまかには、このような流れになるかと思います。
相続では遺言が無い場合、いったん遺産は相続人全員の共有財産になります。そして、相続人全員で遺産分割協議、つまり話し合い、をするわけです。その際の分け方については、相続人全員の合意があればどのような分配でも問題はありません。(遺留分等の問題はありますが)
この場合はお亡くなりになった方の意思は全く反映されないことになります。
ご自分の財産をご自分の希望の通りに残った方々に分配したい。そのような場合は「遺言書」を作成しましょう。
では、どのような遺言書がいいのか迷うこともあるかと思います。
一般的には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のどれかになります。ただ、秘密証書遺言は数も少なく、実際には自筆証書遺言か公正証書遺言のどちらかで考えていくことが多いのかなと思います。
では、自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらが良いのか?まさに人それぞれであると思います。確実にこちらが優れているということはなく、どちらが自分にとって合ってるか、こちらにしたいという、好みに近い部分もあるかと思います。
しかし、自分で選ぶとなると難しい選択にもなりますよね。
自筆証書遺言と公正証書遺言を簡単に比較してみると
自筆証書遺言は、遺言者が日付、氏名、財産の分割内容などを全文自書して、押印して作成します。
メリットと考えられるのは、手軽に作成可能。費用がかからない。といったところでしょうか。
デメリットと考えられるのは、遺言書の作成において、不備等により無効となるおそれがあること。また、遺言書の紛失・隠匿・偽造のおそれも考えられます。そもそも自分で保管しておくために、いざというときに発見されないということも考えられます。また、遺言の効力発生のために、家庭裁判所の検認手続きが必要となります。
ただし、現在は、法務局において、自筆証書遺言書保管制度がありますので、上記のデメリットの部分はかなりクリアできます。
つまり、遺言書の原本は法務局で保管されるので、紛失・隠匿・偽造のおそれはなくなりますし、遺言者がお亡くなりになった後、法務局から相続人等に遺言書を保管していることの通知がされるので発見されないということもなくなります。また、家庭裁判所の検認手続きも不要になります。
ただ、この制度を利用し、保管したとしても、遺言書自体に文意不明等があれば、無効になるおそれはあります。
また、費用として、保管手数料、1通3,900円がかかります。
公正証書遺言は、遺言者が原則として2人以上の証人とともに、公証人役場に出かけて、公証人に遺言内容を口述し、公証人がそれを筆記作成します。
メリットと考えられるのは、遺言の形式的な不備により無効になるおそれがないこと。原本の保管は公証人役場になるため、紛失・隠匿・偽造のおそれがなくなること。家庭裁判所の検認手続きが不要であることなどでしょうか。
デメリットとして考えられるのは、作成までに時間がかかってしまうこと。それと、費用になるでしょうか。(費用などは遺産額により算出されます)
確かな遺言書を作成するには、もし、お勧めをということであれば、公正証書遺言が有効性を担保するためにもよいかと思います。しかし、それぞれ、様々なお考えなどもあるでしょうから、迷われた場合は、一度当事務所にご相談ください。現在の状況とお気持ちを確認しながらより良いものを一緒に考えていきましょう。